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香川県高松駅周辺の防災“地震・津波からの避難”の注意点

  • 2024年04月03日

高松駅周辺で巨大地震が発生・・・どこへ避難する?

高松市中心部で気をつけるべきポイントを香川大学創造工学部の野々村敦子教授と考えます。

香川大学創造工学部 野々村敦子 教授
空間情報工学が専門。地理的な特性から地域の災害対策などを研究。
野々村教授

海から近いので、南海トラフ巨大地震が発生すると、津波の被害を受けるということがポイント。高松は四国の玄関口でもあり県外の人や観光客の人が多いため、高松の災害の危険性を知らない人もたくさんいるということも考える必要があります。

電車や船、宿泊施設の利用客など、多くの人が行き交うJR高松駅前。

上空から撮影した高松駅周辺

一方、海までの距離は、わずか1kmもありません。南海トラフを震源とする最大クラスの地震が起きた場合、震度6強の揺れと、2.6mの津波が想定されています。

まずは、津波から逃げるため、高い場所に垂直避難できる近くの津波避難ビルへ。

高松シンボルタワー

地震直後は、停電の可能性があるため、階段を使って3階を目指します。

ここで野々村さんが注目したのは、津波避難ビルが建っている場所。

高松市では、ホテルやビルなど、合わせて114の建物が、津波避難ビルに指定されています。 

しかし、そのほとんどが、津波による浸水が想定されている地域にあります。

南海トラフを震源とする最大クラスの地震が起きた場合、香川県のシミュレーションCG(※NHKサイトを離れます)では、高松市沿岸部に津波が到達したあと、12時間以上にわたって何度も繰り返し押し寄せています。
野々村さんは、津波避難ビルに避難した後、そのまま長期間にわたって孤立してしまうリスクがあると指摘します。

野々村教授

周りにも建物があるので、流されてきたものが、ここで滞留してしまうこともあります。そうすると、外に出ようと思っても、なかなか出られないということが考えられます。

そこで、野々村さんが教えてくれた「逃げ知りポイント」が・・・。

高松市役所より南へ!

津波到達まで時間があれば浸水区域外へ

その理由が、土地の標高にあります。国土地理院の色別標高図で確認すると、高松市役所の南側は、標高が3m以上を表す黄色で塗られています。ここに津波の浸水想定区域を重ねてみると、標高が低いところは浸水する想定ですが、市役所より南側の黄色い場所は、浸水想定区域の外側になっています。

国土地理院「自分で作る色別標高図」
野々村教授

もし地震発生直後に津波が来る場合は、逃げている間に津波が来ると危ないので、建物の上の階などに垂直避難するのがいいと思います。ただ、時間に余裕がある場合は、浸水区域の外に出るということが必要だと言えます。

高松駅周辺からの避難のポイントをまとめます。

避難ルートにも危険が!広い道を選んで

南へと避難するときに注意すべきなのが、「どこを通って避難するか」です。

高松市の中心部には、総延長が日本一とされるアーケードがあります。
ここでは、災害時に店舗の商品や看板、自転車などが倒れてきて、道をふさぐリスクが潜んでいます。

能登半島地震で被災した石川県珠洲市

能登半島地震では、激しい揺れによって、瓦やガラスの破片が道路に散乱し、電柱は根本から折れ曲がりました。古い木造の建物が密集する場所では、大規模な火災が発生しました。

高松市中心部のアーケード街
野々村教授

商店街は、道路沿いにあるものが避難を妨げる危険性があります。通行できなくなったり、火災で逃げ遅れたりする可能性があると考えてもらいたいです。

野々村さんが、比較的安全に避難できる道路として選んだのが、南北に走る片側3車線の中央通り。

ただ、注意すべきなのが、地震による液状化です。

香川県液状化危険度予測図(南海トラフ最大クラスの地震を想定)

高松駅周辺は、液状化の危険度が最も高いオレンジ色で塗られています。

避難する際には、液状化で道路に段差ができていないか、マンホールのふたが外れていないかなど、足元に注意しながら逃げることが大切です。

野々村教授

夜道だと地震発生直後は停電で真っ暗になる可能性があります。段差ができていても、気付かないかもしれません。避難するときには、懐中電灯で周りを照らすなどして安全を十分に確認したうえで避難をすることが重要です。普段から小さな携帯用の懐中電灯を持ち歩くと安心ですね。

高松市中心部での避難のポイントをまとめると。

避難する場所は、津波が到達するまでの時間で判断すること。「いざというときにどの道を通って逃げるか」、日頃から考えておく必要があります。

  • 山本 陶子

    高松放送局 記者

    山本 陶子

    岡山県のケーブルテレビ勤務を経て、2023年入局。行政担当。西日本豪雨を経験して以来、防災減災などをテーマに取材を続ける。

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